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2016.09.28 Wednesday

実りの収穫とノーフォークジャケット



 

秋の訪れ、

過ごしやすい日が続きます。

皆様はいかがお過ごしでしょうか。

祝日の晩、ノーザンテイラーにとっては嬉しい再会がありました。

 

訪れた先は東区のご近所、

大谷学園にある記念ホール。

こちらのロビーにて、一夜限りの素敵な演奏会が開催。

 

 

本来はソリスト同士、

トランンペット奏者さんとピアニストさんによる友好のアンサンブル。

 

 

お二方揃っての演奏に触れられる機会は、二年半ぶりです。
朗々とそして微細に、

音の香気が揮発。

 



トランペット奏者 ヒロ野口さん

ピアニスト 西本夏生さん

胸高鳴るひと時をありがとうございました。

また来年も北海道で演奏を聴かせてください。

 

 


 

実りの秋、

ではノーザンテイラーからも季節を感じて頂けるよう、

旬の一着をそれぞれでご紹介。

カントリーサイドで市街で、

ナイト&デイ

ハーベストな週末のお伴(とも)に。

 

 

 

ビジネススーツに対してのカジュアルジャケットは、

もとの出自が乗馬や狩猟など、さまざまな個別用途に由来。

ユニフォームではありません。

素材やデザインにあらわれる特徴は、

本来は機能を追求したかたちですが、

現在では趣向性の装飾。

仕立てやディテールによる違いから、

この度はいわゆる「ノーフォークジャケット」をモチーフとしました。

春向きと秋向きのシーン別でご参考になれば。

 

 

まずは春向きの一着から。

生地はホップサックと呼ばれる織り。

変形平織りの一種。

ジグザクと目の粗い凹凸が特徴。

【TALLIA DI DERFINO】

made in Italy

 

ビールの原料にもなるホップを摘み取る収穫袋(サック)を連想させることから、

丈夫で手触りにも野趣があります。
こちらはウールにモヘアーを混紡した生地。

かすかに反射する光沢が、

素朴な野良着とは差別化させた趣味性。

 

 


 

 

 

 

練りボタン
made  in Italy

 


 

スロートタブ(襟のボタン留め切替)

袖付け差し込みと肩先ステッチ

 

 



 

 



背面ベルト縫い付け
 

 



【Odd Vest】

HARRISONS OF EDINBURGH

FRONTIER

 

英国ハリソンズ社を代表する親しみやすい生地です。

平織り、肉厚の万能性から冬以外のスリーシーズンで活躍。
コレクションが刷新されるごとに

色柄のバラエティがさらに充実しました。

ベスト単体としても重宝。

 


 

ナットボタン

made in Italy

 

 


 

【Odd Trousers】

トラウザーズ単体の生地としてもフロンティアはお勧めです。

 


 

 

 

〜季節はめぐり、

ジャケットで1日過ごしやすい頃合いが、

春向きから秋向きへ〜

 

こうした種々の品々を生地商さんとお取引し、

注文洋服屋はお客様と共に理想の一着を形づくります。

時に生地屋さんを訪ねると、

その道のプロから洋服地について教わることが多々あります。

一方で、実際の生産現場へ足を運ぶことはまずできません。

遥か遠い外国ゆえに。

 

綿羊畜産のシェアはオーストラリアや中国といった大陸が圧倒的。

そこから英国やイタリアの紡績工場へ運ばれ、

伝統産業としての品々が機織り。

たかが被服とはいえ、現在では生産から完成まですべからく

自国のサイクルで賄える時代では、

もうありません。

 

 

 

いつか地元北海道産のツイードでこしらえたジャケット着て、

オーストラリアの産地を

英国イタリアの紡績工場、そして機織り元を訪ねてみたい。

まだずっと先の話ですが、

そうした理想を共有し、

身近に通わせてもらえる農場がここにあります。

 

 

 

美唄 西川農場

http://nishikawafarm.com

 

札幌から高速道路で一時間足らずの距離、

美唄、空知地方は空が高い。

もとは炭鉱で栄えた土地。

 

 

 

 

空知特産のアスパラ、

出荷時に根元近くの「切り落とし部分」が廃棄されていたところ、

せっかくだから羊に食べさせてみよう。

とのアイデアから餌に追加。

はじめて数年後、成分を調べたところ肉質にも変化が見られました。

アスパラを食べつづけた羊の堆肥が、やがて農作物の栄養となる循環型。

こうして、アスパラひつじが誕生。

お聞きしたところ、

平成二十年の設立時は、ひつじ3頭、地鶏の雛3羽からのスタート。

西川さんファミリーとスタッフさんによる家族規模の運営は変わらず、

しかし現在では、ひつじと地鶏がそれぞれ200体のスケールにまで成長。

食肉に綿羊、羊乳はチーズ作り等、

命を無駄なく恵みに昇華。

 

 

観光農園ではありませんが、前もって見学の相談をすると

親切に迎えてくださいます。

ノーザンテイラーは2013年に共通の知遇を得て、

以来、四季折々でお邪魔させて頂いております。

 

ひつじと触れ合える機会、

時にお客様をお連れして、時にひとりで。

時間を忘れます。

 

 

マイナス10度近い冬でも、元気に運動。

撫でていると、羊毛の油分で手のひらがしっとりあたたか。

天然の保温力に感服。

 

 

春はもじゃもじゃ

(´Д` )

年に一度の毛刈りが始まります。

 

 

 毛刈り体験は余興ではなく、本気の仕事。

しかし忙しい中にもこうして時間を割いてくださる懐の大きさ、

本当にありがたいです。

ご家族揃ってのご参加もあり、笑顔が絶えません。

 

 

 

一頭分の羊毛、

すのこに広げてゴミを丁寧に落とし、洗います。

 

 

 

毛刈り体験の後は,

実際の毛糸撚(よ)りの実演会。

その準備に、金属のブラシで羊毛の繊維を研いでいるところ。

 

 

講師を務めてくださるスタッフさんの手にかかると、

ご覧のとおり。

まるで綿飴のよう。

 

 

足踏み機でリズミカルに、しかし確実に撚り合わせます。

指先の神経と足の踏み加減が難しく、しかし夢中。

 

 

 

遠巻きに見られています。

                           (^ν^)

 

 

締めには、西川農場産の毛糸を用いたフェルト手芸会。

特殊な針をお借りしてチクチクチク・・・とスピニング。

丸めたり伸ばしたり、

テーブルを囲みながら料理実習のようでした。

いつの間にか大人と子供が仲良く連携。

お二方は初対面。

 

 

完成です。

星三つです\(^o^)/

 

 

西川農場様、いつもありがとうございます。

またこれからもお邪魔させてください。

 

 

〜中秋の名月そして収穫の秋を迎え、

お待たせ致しました。

では後編のジャケッティングスタイルにも、

大地の息吹を想起させる一着を〜

 

 

 

MARLING & EVANS

-The Natural Story-

UNDYED BRITISH WOOL

 

英国生地、マーリン・エヴァンス社からの注目作です。

品種を限定したひつじから

天然のまだら模様(白、茶、こげ茶)

それぞれ「地の色」を活かすため、

染料を使わずに紡績。

その品種とはヤコブ=Jacobs、聖書にも出てくる名。

 

 

 

ヤコブ種ですか?

初めて聞きました。

調べてみるとなるほど・・・まだらです。

あれ!!

どこか似てるな〜

 

 

西川農場さんのマスコット

モモちゃんです。

(⌒▽⌒)

 

 

 

品種はちがいますけれど、三色のまだら

似てますよね。

偶然にも嬉しい再会となりましたよ。

 

 

 

 

 

春向きとは要所でカッティングが異なります。

先述の緩やかなシルエットに比べるとメリハリが効き、

動きながらツイード生地を馴染ませていく行動派。

 

 

前裾のカーブ、

開き気味にまたは閉じ気味にするかは、

デザイン全体のバランスと連動します。

慎みと大胆さを左右。

 

 

 

ミラノナット

made in Italy

 

 

 

 

 

 

取り外しタブ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Odd Vest】

BULMER AND LUMB

BLACKWATCH WOOSTED FLANNEL

made in England

 



革くるみボタン

 

 

 

 

 

 

 

アクションプリーツ(背面の折りひだ)

 

 

 

 

 

 

 

【Odd Trousers】

Canonico Flannel

made in Italy

 

 

 

【Extra Patch】

Dugdale Bros& Co.

Cavalry Twill

made in England

 

 

 

 

2016年、秋のハーベスト編はいかがでしたでしょうか。

いよいよ近郊の山では紅葉シーズンですね。

来季はノーフォークジャケトを羽織って春秋、

行楽のお伴にして頂けますと幸いです。

 

 

 

 

いやそのまえに来春、

皆様と毛刈り会を開催できますように。

どうぞお楽しみに。

 

 

札幌元町 ノーザンテイラー

http://northern-tailor.jp/

 

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