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2013.07.20 Saturday

グレイスーツと、フランス映画に観る日本の夏


7月です。
盛夏です。
外は騒がしいです。

無所属新人、
ノーザンテイラー
不偏不党。
ありがとうございます。




この時季にスーツ??
勘弁してよ・・・
お察し致します。
そこで、
納涼企画。
これがやりたかったんです。

ご声援、
ありがとうございます。




【 OLD KID MOHAIR GREY SUITS】

サマースーツの真打ち登場。
軽さ、
弾力、
発色、
感触、
この関係性はちょっと穏やかではありません。
ざわざわします。




生地は当店の在庫コレクションより、
ドーメル社のOLD SUPER BRIO
この度、この企画でご紹介できること、
ご縁に感謝。
焦らず待った甲斐がありました。




2つボタンのセンターベント。
撮影アングルによってグイッと際立ちますが、
実際抑揚は控えめなもの。

季節向き、
生地の特性、
パーソナリティ、
デザインバランスは十人十色。
それが不思議と、
モヘア―スーツはやっぱりこうなるよね。
という具合になりました。

ではこの度のモチーフとなった、
素敵な日本の夏をご案内しましょう。




【二十四時間の情事】1959


望むところです。
日仏合作の隠れた名画。
虜になります。
ちなみに原題は、
【HIROSIMA MON AMOUR】
わが愛しのヒロシマ

邦題は罪ですね。
下手な下心を喚起されます。
私もそのくちでした。




さまよえる美女といえば、
【死刑台のエレベーター】1958
ジャンヌ・モローには明けない明日がありました。
【男と女】1966
アヌーク・エーメには消せない過去がありました。
各人、
クールを装っていますが、
心中は燃えていました。

今作のヒロインは、
エマニュエル・リヴァ
魅せてくれます。
それも舞台は日本、
わが愛しのヒロシマ。




設定も女優。
映画の撮影で広島へ来ました。
ヒロシマの過去と現在、
終戦から15年近く経った当時の風景が、
照りつける陽射しと陰に鮮やかです。
夏の夜、
モノクロの世界を
静かに見入ります。




男と女が出逢いました。
それだけです。
俳優は、
岡田英次氏
男前です。
セリフは終始一貫、フランス語
「ウィー」
「サヴァ」
もう一度言います。
舞台は日本です。




来ちゃった・・・
女は不意に現れます。
男は言いました。
ほかのものたちはバカンスへ行ったよ。
どちらへ?
雲仙さ。
素敵ね。
ああ・・・
障子越しの逢瀬(おうせ)。




畳に布団、
そして青い瞳。
夢心地です。
タバコにフィルターはありません。
つかの間、
互いの口から
過去が語られました。
人生いろいろです。




明日の今頃は、
わたし、もう機上のひとよ。
行かないでくれ。
男は単純。
ぞっこんです。




川のほとりのカフェにて
再度口説きます。
喫茶「どーむ」
和洋折衷、
魅惑のムードです。
のれんをくぐって入ります。
セーヌ川ではありません。
太田川です。




もう帰りましょう。
離さない・・・
女の心中を
酌んであげられません。
男前も、
ときには駄々っ子です。




深夜の駅にて
場内アナウンスが流れます。
「お待たせ致しました。
3:30発 下り急行列車、熊本行
天草号の改札を・・・」
むなしく響くなか、
女はひとり、
過去と現在に
立ちすくみます。




ネオンが消えて
ヒロシマの夜が明けます。
川風にひとの暮らしが流れます。




ふたりはどうなるのでしょうか。
つづきは是非、
ご覧になった余韻のなかで
お愉しみください。




なお、
この映画の見どころはロマンスだけでありません。
1959年当時の
日本の夏、広島のロケーションが、
なんとも素敵に描写されています。
そのひとつが、
【HOTEL NEW HIROSHIMA】
今はもうありません。




かつて、
平和記念公園内に在った施設。
記念行事の際には貴賓館だったとのこと。
客室わずか二十数室の、
小さなビルディングですが、
昼と夜、
じつに映えます。

夢と現実、
過去と現在、
記憶の橋が架かりました。




なお、
俳優、岡田英次氏はこの他、
安部公房原作の映画化【砂の女】1964
でも影の似合う男を演じました。
密室劇の共演者は・・・ウフフ
内緒です。

また
エマニュエル・リヴァはこの直後、
J.Pメルヴィル監督作【モラン神父】1961
にて、J.Pベルモンドと共演しました。
こちらは一転して忍ぶ恋。
ふたりの心中は
必死で延焼をくい止めていました。




大人ですもの。
外は冷静さを装いましょう。
はい、
淡いブルーのシャツとタイを合わせてみました。
ショートレングス、
ナローラペルとの関係性から
こんな具合です。




トラウザースはストレートに、
股上は浅め。
裾の落ち着きはハーフクッション
軽く被る程度。
薄手の靴下に
ひらひらと風を感じてください。
それも甲に・・・
理由は後ほど。




スーパー・ブリオって
ちょ・・笑
昨今ではネーミングから誤解されそうですね。
この場合は、いわゆるsuper100's とか120'sといった
等級を表すものではありません。
じゃあ何なの??
と言いますと、
キッドモヘア―とウールによる混紡素材を、
夏向きに軽く、工夫しました。
というものです。
ほかにキッドモヘア―混紡では、
トニックというシリーズがありますが、
そちらは重厚なため、
季節向きが異なります。




今回はスーツにもスリッポン。
甲が見えます。
靴下もスースーです。
そしてお約束の
フルサドル。
とことん行きます。
偶然にも、
MADE IN JAPAN です。




資料にもありますね。
ドレスとカジュアルの
いいとこどりって。
スリッポンとスーツの関係性は、
それぞれに縁起があります。
英国、アメリカ、欧州、
そして日本。
お座敷にはスマートに上がりたいですから。




サドルの由来は、
硬貨を挟むこともできました。
ゲン担ぎに
おみくじを挟んでみます。
二年続けて大吉です。
ご利益、ありがとうございます。




シャツとタイを変えてみました。
相性から言いますと、
薄手のプリント柄がおすすめです。

冷たいお茶で、
一息入れましょう。




あらためまして、
暑中お見舞申し上げます。
皆様、素敵な夏をお過ごしください。



札幌元町 ノーザンテイラー

http://northern-tailor.jp/

2013.07.18 Thursday

不在のお知らせ -2013年7月-




平生
当ブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。

この度
7/25(木)、/26(金)
出張のため、
不在とさせて頂きます。
ご不便をおかけしますが、何卒ご了承願います。

翌7/27(土)からは平常どおり営業。
お問い合わせ、ご来店を
涼やかにお待ちしております。





東京都内、ご注意ください。


札幌元町 ノーザンテイラー
http://northern-tailor.jp/

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