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2012.11.13 Tuesday

絵画夜話 -2012- 増田寿志展のご案内


陽がみじかくなりましたね。
夕暮れに風が吹きすさびます。
枯葉舞うなか、家路をいそぐ季節。

焼きいも、おでん、そして熱燗・・・
立ち上る湯気にふっと安らぎをおぼえるとき、
日本っていいなあ。
と再認識。
それをシェアできる相手がいると、なおのこと幸せ。
って
いきなりどうしちゃったんですか??
ご心配なく。
怪しげな勧誘じゃありませんよ。笑




寒くなると思い出す句があります。

ゆず風呂に うかんでいるよ しあわせが

今にも湯気のなかに誘われていくよう。
おもわず頬が緩みます。

これはシェイクスピア翻訳で知られる、英文学者の小田島雄志氏による・・・
少々詳しくお話ししますと、
当時9歳のお孫さんが小田島氏の誕生日にプレゼントした一句。
誕生月に合わせた季語、
おまけにそれぞれ句のあたまを取ると、
おじいちゃんの名が!!
天才少年のやさしさユーモアに感服。

引用元は銀座百点という読み物。
私は札幌生まれのどさんこですが、我が家には昔からこの小冊子がありました。
お付き合いのある先から毎月送られてくるのを、
ささやかな楽しみにしていたものです。
http://www.hyakuten.or.jp/index.html

各界人のユーモアあふれる対談や良質なエッセーが
手のひらサイズに収録。
なによりその土地柄ゆえ、
街の魅力が活き活きと、
江戸の町人文化、世の営みに則し語り継がれています。

また、表紙を飾る装丁は毎号バラエティーに富み、
四季折々の風情が薫るよう。
絵を眺め、書物に触れ・・・
行楽シーズンも過ぎました。
師走の賑わいにもまだ早いこの季節は、
静かな空間で時を過ごすのにぴったりではないでしょうか。




そんな調子で徒然(つれづれ)なる夜話、
お付き合い頂けたら幸いです。
では、つづきを。
この度北海道立近代美術館にて、藤田嗣治(つぐはる)の世界に触れてきました。
渋谷の松涛美術館と共催によるもの。

ニ十世紀初め、第一次大戦後の新たな芸術機運、
エコール・ド・パリを代表する一人として名高いですね。
文人、画家、社交界、そして大衆メディア、
各界のトップランナーたちが、
国籍やフィールドの垣根を越えて活躍した時代。
もしタイムスリップできるなら、
この時世の空気に触れてみたいと思われる方も多いのでは。




1928年 アンドレ・ケルテス撮影

往時モンパルナス界隈には、
サルトルがいて、ボーヴォワールがいて、
ピカソやモディリアーニ、そしてシャガールも・・・
いわば百花繚乱、
魑魅(ちみ)魍魎(もうりょう)の生息域。
はやい話が妖怪ですね。
ゲゲゲのゲ〜♪♪

そこにまぎれもなくフジタがいた。
という事実を知るほど、
一見、酔狂にみえる彼の風貌、
それでいながら腕(ブラ)一本にみる逞しさとのギャップに、
鑑賞者は惹かれます。




【二人の女】  1918年
92.2 × 73.3cm
北海道立近代美術館

図録をもとにご紹介します。
これは1913年に渡仏して後、
フジタ32歳の作品。
「素晴らしき乳白色の地」と評され、
パリ画壇の話題をさらった一点。
第一次大戦、ちょうど終戦の頃、
日本では大正六年にあたります。
か細く、陰鬱な心象オーラからは、
乳白色というより、灰白色の生活観をおぼえませんか。
どうでしょう??
磨かれた銀の食器が底光りしそうな退廃性。
手フェチには見逃せません。




【目隠し遊び】 1918年
65.0 × 54.0cm
個人蔵

ところで
出展のテーマは何でしたっけ??
忘れました!!
独断専行でいきます。
花の都パリにて、青年フジタの遍歴や如何に。
めくるめく新世界に相応しく、
こちらは絵具に金箔を用いたもの。
絵のなかでは一体、どんな音楽が流れているのでしょうね。

なるほど、こういうプレイもありなんだ・・・
オレだって芸の肥やしに、いざ☆
ってもしもし??
何処へ行くつもりですか。汗




劇作家ジャン・ジロドゥー著
【イメージとのたたかい】 より
藤田嗣治による挿画
【眠る女性】 1940年
25.1 × 18.5cm
東京国立近代美術館

あらためまして出展テーマの正式なところは、
〜藤田嗣治と愛書都市パリ〜
花ひらく挿絵本の世紀
というものです。

以下、図録よりテキストを抜粋。
“ ヨーロッパにおける挿絵本の歴史は深く、書物としてだけでなく
芸術作品として一つのジャンルを形成しています。
各時代、画家が本の内容に自らのイメージによる挿絵を描き、
文字と一体化した挿絵本が生み出されてきました。
とりわけ19世紀末から20世紀にかけては、印象派をはじめ
新しい美術の潮流が挿絵本に大きな変化をもたらします。
ボナールやピカソ、シャガールら気鋭の画家たちが、
版画による挿絵を付した本を世に送り出し、その人気は高まっていたのです ”




“ フジタがパリに渡った1913年は、こうした挿絵本隆盛のさなかにありました。
 パリ画壇で頭角を現し、サロン・ドートンヌに入選した1919年、
同時期から彼は、精力的に「本のしごと」にも取り組みます。
1920年代のパリには多くの日本人美術家がいて、現地のサロンに入選したり、
個展を開催したものは相当な数に上っていた。
しかし、フジタほど質量ともに高い「本のしごと」を残したものはいない。
それは現地の文学界や出版会と幅広いネットワークを築いていた反映でもある。
そうなった理由のひとつに、
フジタがフランス語を「読むひと」だったことを挙げるべきだろう。
テキストを読みこんだ上で挿絵を描いているのだ。
仕事を引き受けるなら突き詰める職業意識の表れからも、
彼は本質的に生真面目な明治人だった ”

とのこと。
異国と祖国、二つの世界を生きつらぬいたフジタは、
1955年にフランス国籍を取得し、後にカトリックへ改宗。
レオナール・フジタにとって精神風土のうえでも、
遂にはフランスが故国となりました。

絵画の世界から静かに伝わる、感動。
観る者のなかに広がる光景は、いうなれば記憶の風土でしょうか。
音や匂いに呼び起こされた、
生きとし生ける営み。

お待たせ致しました。
いよいよ本題、
自然画家【増田寿志展】のご案内




先日、札幌市北区のギャラリー・エッセにて、
個展にお邪魔してきました。
WILDLIFE ART
というフィールドで活躍されている画家。
http://www.masuda-art.net/

会場にて増田氏にお目にかかりました。
短い時間でしたがお話しさせて頂き、
その世界観に触れた感慨は、
時が経つほどに深まっていきます。




許可のうえ撮影させて頂きました。
精緻なペン画の素描は実写と見紛う臨場感。
それでいておもわず手にしたくなる親しみや、
生きものを抱いたときのような温もりを内包。

この度、当ブログでご紹介するにあたりまして、
増田氏から作品の解説を頂戴しました。
以下、作品と共にご参照ください。




【エゾシカ】
北海道に生息するシカで、
絵に描いたのは立派な角を持つオス鹿です。
鹿の仲間は毎年春先に角が抜け落ちてしまいますが、
再び秋にかけて角が伸び始め、
晩秋には角も体つきも立派な姿になります。
これは、そんな季節(ちょうど今くらい)の鹿の絵です。
5〜6年前に日高の山中で野鳥の取材をしていた時に
出会った鹿を参考に描いたものです。
イギリス人鳥類学者のマーク・ブラジルさんが次回出版される
海外向けの書籍の挿絵として描いたものです。




【エゾシマリス】
こちらも北海道に生息するリスで、
エゾシカ同様、マーク・ブラジルさんの書籍用の挿絵として
今年描いたものです。
北海道に住んでいる方なら誰もが一度や二度目にしたことがある、
お馴染みの動物かと思いますが、
この "モデル" を取材したのは、私が時々散歩に訪れる札幌の円山です。
リスの身のこなしなどを見ているととても引き込まれるので、
散歩とはいえ結局ついつい、すぐに数時間が過ぎてしまいます。
この日のシマリスは、ほお袋にドングリを詰めて、"倒木の道" を走り、
巣穴へ持ち帰る仕事に忙しいようでした。
仕事に打ち込む健気な姿と、駆けるリスの美しいフォルムを見て
満ち足りた一日でした。




【ドールシープ】
アラスカの高山帯等に生息する野生の羊の仲間です。
普段はオオカミなどの天敵を避けて、高山の岩場などで群れで暮らしています。
群れは主に、子どもと母親の群れ、若いオスの群れ、
立派な角を持った体格の良いオスの群れに大きく分かれます。
紅葉の進んだ9月のアラスカで、
ある5〜6頭のオスの群れを取材するために山を登り始めましたが、
途中ヤナギの茂みをかき分けて進むときに、
グリズリー(ヒグマ)との不意の出会いにとても気を付けて登ったのを思い出します。
ドールシープが生息する山頂からは秋のアラスカの広大な風景が見渡せ、
穏やかに暮らす彼らとの幸せな時間を十分に楽しんで下山しました。
取材してから8年ほど過ぎた昨年描き起こしたものですが、
私の場合、取材してから実際の制作に入るまで
時間のかかるものがなぜか多いかもしれません。

以上、
お人柄が想起される素敵な解説、
誠にありがとうございました。
この他の作品にも、
アクリルによる風景画の奥ゆきには、
誰しもが持つ幼少期の原体験、
精神風土の広がりとリンクしていく既視感をおぼえます。
例えるなら20世紀アメリカ絵画のアンドリュー・ワイエスにどこか通じる、
静かな抒情性。




東京開催
増田寿志展

11月27日(火) 〜 12月2日(日)


Art Gallery OPPO

東京都杉並区阿佐谷北2-15-6
http://homepage3.nifty.com/oppo/
TEL 03-3223- 2080

自然に寄り添う作家の雄大なる世界、
その林道の入り口に是非お立ち寄りください。


札幌元町 ノーザンテイラー

http://northern-tailor.jp/

2012.11.10 Saturday

FAX番号変更のお知らせ


平生、当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。
この度、ノーザンテイラーのFAX番号が変わりました。

011-792-0875

ご確認の程よろしくお願い致します。



なお、
ところでブログ更新はまだか??
 
とそれとはなしにつつかれておりますが・・・
申し訳ございません。

選りすぐりの情報を旬のタイミングで
ご提供するのがモットーゆえ、
目下じっくりと仕込みの段階。

近日中には晴れてご覧頂けますので、
どうぞご期待ください!!

随時お問い合わせ、ご来店を心よりお待ちしております。




札幌元町 ノーザンテイラー

http://northern-tailor.jp/

営業時間 11:00 〜 20:00
水曜定休
電話 011-782-9488
FAX 011-792-0875

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